2種類の柱
無垢の柱なんて今時使わないよ!今や建築で使う柱と言ったら、集成材の柱でしょ!と思っている方たくさんいますよね。
本当に、無垢の柱は今時ではないのでしょうか。
もう古いのでしょうか?今回は、無垢の柱と集成材の柱について考えてみたいと思います。
集成材の柱の特徴と強み
まずは集成材から。
集成材は長方形に製材した板(ラミナ)の繊維方向を平行に接着剤で貼り合わせた木材です。
柱としては3mほどで使うことが多いので、長さが足りない木材はタテに継いで(フィンガージョイント)貼り合わせます。
木目の木表と木表、木裏と木裏を合わせて貼り付けるため、お互いの反り方向を相殺しあって、1本の柱としては反りにくい、曲がりにくいのが特徴であって強みになります。
一枚のラミナは下図のように年輪になっています。
そして年輪がまっすぐになるように、この場合は両端が上に持ち上がるように反ります。
それをお互い相殺し合うように貼り付ける訳です。うまく考えられていますよね。
小さい木端も立派に再生できる所はこれからの環境にとても貢献出来ると思います。


集成材の柱の弱み
集成材は湿気に弱いことが弱みです。
集成材の表面を見て頂きたいのですが、4面のうち少なくとも2面は「柾目」で残りの2面は柾目か板目になります。
何が言いたいのかと言うと、柾目は水分を吸いやすいのです。
充填断熱の場合その材料によっても変わりますが、柱がずっと水分を含んだままになるとご想像通り腐朽菌が大活躍します。
そして集成材を構成しているのはラミナと接着材です。
接着剤の寿命は何年でしょうか?
壁の中に湿気がある以上柱も湿気を吸いますがラミナ同士は膨張率がそれぞれ違いますから、木の暴れをいつまでも接着剤がつなぎとめておけるはずがありません、いつかは剥離します。
選ぶ断熱材とその施工精度が悪ければもっと早い段階で朽ち果てるでしょう。一般に集成材の強度が保たれるのは50年~70年と言われていますが、まだ実績は40数年です。
そして接着剤の耐用年数は現場状況によりそれよりも短くなる可能性はあります。
集成材は出荷当初の強さのばらつきがない事と構成要素を見ると反りが少ないのが特徴ですが、これはあくまでも乾燥状態にあり続けることが前提なのです。
無垢の柱の特徴と長所
無垢の木の柱は当たり前ですが一本の木から一本しか取れません。
いくら樹齢の長い木でも何本も取れません。というのも構造材で使われる無垢の柱には芯が必要だからです。
年輪の中心ですね。
ここがポイントで、この芯があることによって構造材としての強度や耐久性が安定します。
また、年輪というのは木の皮ですから雨に濡れても芯まで水が到達することを防いでいます。
水面貯木ってご存知ですか?船や川から運んできた丸太を海や河口で保管して仕分けや乾燥をさせていました。
水の中で乾燥?と思われましたよね。
木の水分は空気中であれば水分が急激に抜けて割れが入りますが、水の中だとゆっくり抜けるので割れの心配がありません。
そして水の中では酸素がないので腐朽菌が繁殖しないため何年も保管が可能です。
とはいえ昔は丸太の移動が楽だからという理由が一番だったようで今の時代はリフトやクレ-ンもありますし、乾燥も工業化されてゆっくりしっかり水分を抜くので、水面貯木はあまり見かけなくなりました。
話が長くなりましたが、芯のある無垢の柱は、雨が入りにくく、湿気は通す不思議な性質(透湿防水シートと同じ役割)を持っています。
これが建築材料としてはとても都合が良いのです。
上棟する際にも、集成材の柱は水濡れ厳禁ですが、無垢の木であれば全く心配ないですし、住んでから周りの湿気を吸ったり吐いたり調湿をしてくれるのです。とても理にかなった材料だと思います。
無垢の柱の弱み
出荷当時の含水率(柱が持つ水分量の比率)によって、建てた後に反りや曲がり、ひねりといった精度が狂うのが弱みです。
一般に含水率20%の柱が多く流通していますが、数年経つ間に水分が抜けていき15%に達します。
これ以降は何年経ってもあまり変化はありません。
5%抜ける時に反りや曲がり、ひねりが発生するのでしょうね。はじめから含水率15%の柱を使うことで問題を極力減らすことができると思います。
見解
無垢材は乾燥した状態であれば何百年の長い年月に十分耐えられます。
集成材に関してはまだ数十年しか歴史がないのですが、人体に害のない成分で耐用年数の長い接着剤が出来ることを期待して、どちらも強みを活かして適材適所で使うことが望ましいですね。
木は鉄やコンクリートよりも軽くて粘りのある構造体であること、しかもバリエーションに富んだデザインや、住む人に癒しを与えてくれる本当に付加価値のある材料だと思います。
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この記事の執筆者

小浦義一 こうらよしいち
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名古屋市の建築会社 夢工房キッチンくらぶ代表 1971年生まれ。
大工にてキャリアをスタートし大手ハウスメーカー設計の住宅を数多く手掛ける。
図面に忠実に、そして技術的に無駄が無い。ことを心情とし建築家設計の難解な住宅の施工も担う。手掛けた案件が新建築に掲載された実績もあり。
会社設立後は全てのお客様の図面、線一本にも責任を持つことを掲げ、一棟一棟、熟練の職人とともに年間受注棟数を限定しながら、高断熱・高気密・高耐震、そして自然素材を主とした健康で安心して永く住み続けられる住みやすい住宅を提供している。
主な資格は、二級建築士、住宅断熱アドバイザー、住宅断熱施工技術者、第二種電気工事士 宅地建物取引士 など
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