導入
C値の意味
漢字を使うと、「相当隙間面積」と言います。
住宅の隙間を数値化したもので、数字が小さいほど隙間が小さいことを示します。
単位は(c㎡/㎡)で、一般に高気密住宅と言われるのは、C値=1.0c㎡/㎡以下といわれています。
C値の計算式
C値=住宅全体の隙間面積÷延床面積
C値の測定方法
断熱の指標であるUA値は図面上で断熱材・窓の個別の性能値から逃げる熱量を計算して、外皮面積で割る方法で計算しましたが、C値は現場で測定します。現場に測定機を持ち込み、どれだけ空気の漏れる量があるかを調べます。
その量を床面積で割った値になるので、毎回現場によって数値が違います。
ここで、大工、電気、水道、ガス、エアコンなどの職人さんの腕が問われるわけです。
特に大工の重要さが占める割合は90%くらいと言ってよいでしょう。
耐力面材やサッシ、換気扇などの他部材との取り合いになる部分がしっかり丁寧に仕事がされていなければ、家の隙間があちらこちらに出来てしまい、隙間風を感じる家になるでしょう。
少し大げさに言ってしまいました。隙間風を感じないまでも色々な不具合がでてきます。
次にそのお話をしましょう。
気密が大切な理由その1
一つ目は気密が断熱性能とリンクしてるということです。
例えば、UA値=0.46W/㎡・K(以降単位は省略します)の家があったとします。
この場合前提がC値=0なんです。C値=0.5の時でしたら実質UA値=0.48で0.5割減になり、C値=1の時は実質Ua値=0.51で1割減になってしまいます。
C値=1.0以下が高気密住宅と先ほど言いましたが、実際は住宅の劣化のことも考えるとC値=0.5以下が望ましいと思います。
気密が大切な理由その2
二つ目は気密が悪いと換気がうまく働きません。
換気は建物の体積から排気の量を計算し、それに見合う換気扇や取り付ける位置を決めるのですが、気密性が高ければ吸気口から入ったきれいな空気が家の中を万遍なく回って排気されますが、気密性が低いと排気の近くでショートサーキットを起こし、計算通りきれいな空気が循環しないことになります。
そうなると、空気が淀んでしまい、カビ菌や腐朽菌が繁殖して、アレルギーの原因になったり、壁の目に届かないところがカビていくことにもなりかねません。
気密が大切な理由その3
三つ目は、気密が悪いと壁の中に影響を及ぼします。
これは断熱材の種類とその特徴にも関係しますが、グラスウールと発泡ウレタンの場合でお話しします。
この二つの断熱材は湿気を吸うけど吐けないという特徴があります。
グラスウールの場合、防湿シートを施工することが必須です。防湿シートの継ぎ目はもちろん、換気扇やコンセントは壁に穴を開けることになるので、ここの処理をしっかり丁寧に施工しないと、隙間ができます。
「湿度について」でお話をしましたが、湿度は温度と同じで高い方から低い方へ勝手に移動します。
先の防湿層の隙間からこの水蒸気が侵入し、出口がない(吐き出されない)ので壁の中にたまります。
それが続くとどうなるでしょう。そうです、壁体内結露です。
これが原因でグラスウールがカビて真っ黒になり、水分の重みで下に下がり、部屋中にカビ菌が舞い、断熱効果のない壁になってしまうのです。
それと同時に腐朽菌も繁殖する環境になりますから、柱や土台が腐っていきます。
我が家も建替えの時に解体現場を見に行きましたが、黄色いはずのグラスウールが黒く変色しているのを見てしまいました。なんだか寒かったんですよね~あの家…。
発泡ウレタンも基本同じです。
ただ、発泡ウレタンは防湿フィルムを施工している建築会社さんはありませんね。
大丈夫ですか、と思います。いろいろな断熱材の種類と特徴は別の機会にお話ししますね。
気密をしっかり考えているか?がわかる質問
「気密測定はしていますか?」
見解
断熱と気密はワンセットです。どちらかだけではなく、両方、同時に性能が高くなければ意味がありません。
すごく大事です!を何度も言う理由は、「断熱性能の義務」は近い将来ありますが、「気密性能の義務」はないからです。
法律で決められていない以上、そこに気を使わない建築会社がたくさんあるのです。
とても残念ですが世の中はそんなものです…。
ぜひ、気密測定を全棟標準にしている会社さんとお話を進めてください。
言われればやりますという建築会社さんには、C値=0.5なんて到底できませんから気をつけてくださいね。
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この記事の執筆者
小浦義一 こうらよしいち
Website
名古屋市の建築会社 夢工房キッチンくらぶ代表 1971年生まれ。
大工にてキャリアをスタートし大手ハウスメーカー設計の住宅を数多く手掛ける。
図面に忠実に、そして技術的に無駄が無い。ことを心情とし建築家設計の難解な住宅の施工も担う。手掛けた案件が新建築に掲載された実績もあり。
会社設立後は全てのお客様の図面、線一本にも責任を持つことを掲げ、一棟一棟、熟練の職人とともに年間受注棟数を限定しながら、高断熱・高気密・高耐震、そして自然素材を主とした健康で安心して永く住み続けられる住みやすい住宅を提供している。
主な資格は、二級建築士、住宅断熱アドバイザー、住宅断熱施工技術者、第二種電気工事士 宅地建物取引士 など
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