家の金額の出し方
あなたは家の金額を出す時、どのように考えますか?
もしかして「坪数×坪単価=家の金額」ですか?
それ、確実に損します。今回は坪単価の闇をお話しします。
金額のマジック
「家の金額÷坪数=坪単価」は私たち工務店側やハウスメーカー(以降ビルダーとします)が使う計算式です。
敢えて式の説明をしますが、「家の金額」は基礎、大工、外装、内装、設備、電気、給排水、ガスなど20項目程の各工事費用を合計したもので、それを家の「坪数」で割ったものがあなたもご存知の「坪単価」になります。
まず、ビルダーは坪単価を安く、いかにもお値打ちに見せる小細工をします。
その方が問い合わせが多くなりますからね。
その小細工とは、「〇÷△=□」の〇の部分を小さくすると□も小さくなるのと、もう一つの方法は△を大きくすると□が小さくなります。
まず、〇を小さくするというのは、本来、家の金額とは引き渡しを受けた時の状態すべての金額を言いますよね、外構工事はもちろん、敷地内の電気・ガス・水道配管、地盤が弱ければ地盤改良工事も必要ですし、照明器具、カーテン、エアコン、アンテナ工事なども含める金額をさします。
ところが外構工事以降の工事金額を抜いた金額を建物本体金額と言い、その金額を〇とするビルダーがほんとに多いのです。
そして△ですが、本来△は床面積のことをさします。
床面積とは玄関ドアを開けて中に入った面積を言います。
これにバルコニーやウッドデッキ、玄関ポーチや庇の面積なども算入するということです。
こうして、あたかも坪単価を安く見せるマジックが完成するのです。
ところがこれは違法でではありません。建築業界共通のルールがないだけなのです。
今月の坪単価
「今月は坪単価が〇〇万円ですが、来月からは××万円になります。弊社はどの間取りで建築しても同じ坪単価ですから早い方がお得ですよ^^」」という営業トークを聞いたことはありますでしょうか?
確かに建築材料や設備機器は数カ月ごとに値上げの告知があります。
なので値上げのタイミングはどこかではあるのでしょうけど、問題は「どんな間取りでも同じ坪単価」のところです。
間取りが違えばドアの数、サッシの大きさや数、外壁や内壁の面積、階段の形状が変わりますが、それはどのような計算をしてるの?と思ってしまいます。
この方法の利点は、商談が早い!です。
営業さんがすぐに家の金額が出せて、お客様に即答を促すことが出来ることです。
それでお得になる方もいるかも知れませんが、会社としては普通は赤字覚悟でそんなことしませんよね。
だいたいあれもこれもそれも含んだ金額を入れた坪単価に設定すると思います。違いますかね~
坪単価は、「家の金額÷坪数=坪単価」で、私たち「家を建てる側」が使う言葉ですから、会社それぞれでルールを決める(家の金額に含める工事やどこまで坪数に入れるか)ことで成り立つ式になります。
間取りも決まっていない、工事の内容も材料も分からない家の金額は出すことはできないからです。
そのビルダーの標準仕様を聞いてあなたのやりたいことや使いたい材料を伝えたうえで、概算金額を出してもらうようにすれば安心でしょう。坪単価で考えないようにしてくださいね。
標準仕様という考え方
先ほど、「標準仕様」という言葉を使いましたが、これについて補足をします。
ひと昔前は、工務店というのは大工の棟梁が社長であり営業であり、設計者であり、現場監督でもありました。
家に関することならなんでも知っていたし、すべての業者を束ねる存在でした。
だから看板は「家のことならなんでもお任せください!」と書いて出していました。
文字通り、お客様が使いたい設備や材料、洋風・和風などのテイストがなんでも出来たのです。
(センスが良いかどうかはわかりませんが)もちろん金額はそれ相応になります。
「なんでも出来ます!」が売りだった時代は次第に多種多様な建材や設備が現れて、材料や工法で色々なものを手がけると煩雑になりロスが大きくなる問題に直面しました。
なので各工務店はより専門性を打ち出すようになり、設計ルールや使う設備や材料を決め(標準仕様)て合理性を重視するようになったのです。
家を建てる方にとってはビルダーを決める選択基準が分かりやすくなり金額も大きく違わないので、それが今の主流になっています。
標準仕様の注意点
ビルダー側の標準仕様を定める利点は、2つあります。
材料が煩雑にならない事と、設備や材料メーカーと値段の取り決めが出来ることです。
数の原理で大量に購入すれば(年間購入台数を約束すれば)金額は安くなります。
いわゆる「オプションにするとなんだか高くなるよなぁ」というのは間違っていません。
滅多に使わないメーカー品を使うと仕入れ値が上がりますからね。
それでもお値打ちに仕入れる方法はありますからご安心ください。
それは「みんなで買えば安くなる」です。
工務店同士が横のつながりをもってグループで購入するという方法です。
大量購入はハウスメーカーの独壇場ではなくなっています。
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この記事の執筆者
小浦義一 こうらよしいち
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名古屋市の建築会社 夢工房キッチンくらぶ代表 1971年生まれ。
大工にてキャリアをスタートし大手ハウスメーカー設計の住宅を数多く手掛ける。
図面に忠実に、そして技術的に無駄が無い。ことを心情とし建築家設計の難解な住宅の施工も担う。手掛けた案件が新建築に掲載された実績もあり。
会社設立後は全てのお客様の図面、線一本にも責任を持つことを掲げ、一棟一棟、熟練の職人とともに年間受注棟数を限定しながら、高断熱・高気密・高耐震、そして自然素材を主とした健康で安心して永く住み続けられる住みやすい住宅を提供している。
主な資格は、二級建築士、住宅断熱アドバイザー、住宅断熱施工技術者、第二種電気工事士 宅地建物取引士 など
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