外装材の種類
築40~50年の住宅を見ると、外装材は木、鉄板、モルタルが多いですが、日本の家がプレハブ化(プレファブリケーションと言い工業化した住宅のこと)してから随分と様変わりしました。
サイディングと呼ばれる外装材の普及です。サイディングといっても、窯業系、金属系、木質系、樹脂系と数種類あります。
今回は、3種類の外装材についてそれぞれのメリットとデメリットを色々検討していきますね。
窯業系サイディング
サイディングというとこの窯業系サイディングのことを指すと思っても間違いではありません。
この窯業系サイディング(以下窯業系と呼びます)はセメントと繊維が主原料で成形し硬化させたものです。
メリットは工場で生産・管理されているため精度が安定していることと、施工が簡単で工期が短いことです。
そこがイニシャルコストを下げることに貢献します。そしてデメリットは耐久性にあります。
窯業系の材質は温度差により伸縮します。
ボードとボードの隙間に施されるシーリングが劣化によりその伸縮に耐えられなくなると雨水が侵入してしまうことが窯業系の劣化を早めます。
ボードの表面はきれいに塗装がされていて雨水の侵入はありませんが、小口(切断面)や裏面は素地で、雨水を吸ってしまいます。
これによって膨張したり反ったり、氷ることでヒビが入ったりします。表面の塗装は材料によって耐久年数は10年~30年と様々ですが、シーリングの寿命がせいぜい10年です(もちろんもっと長いものもあります。)
結局シーリング頼りな以上メンテナンスは10年ごとに必要になります。費用は150万円以上かかるのが一般的です。窯業系は今ではハウスメーカーを筆頭に住宅建築のほとんどでこの外装材で使われています。
各建材メーカーから様々なデザインが発売されているので、種類は100や200ではありません。
レンガ調、石目調、木目調、縦目地、横目地、凹凸の激しいものや、フラットに近いものなど、ほんとにたくさんあります。
共通して言えることは○○調であって、本物に似せた偽物ということです。
私はイニシャルコストを安価に済ませるには一押しです!とだけ言える材料だと思います。
ガルバリウム
その昔、トタンという名前で知られていた金属の板は、今ではすっかり進化を遂げガルバリウム鋼板として、壁や屋根で使われています。
鉄板に亜鉛、アルミ、シリコンの合金を施した建材です。
亜鉛が錆による穴あきを抑える「防食作用」、そしてアルミが経年により亜鉛が溶けてしまうのを防ぐ「保護作用」とを合わせて「自己修復作用」を備える建築には大変都合の良い材料なのです。
建物は軽ければ軽いほど揺れにくい性質がありますが、ガルバリウム鋼板は材料自体の自重が軽く、建物に負担を与えないことと、耐久年数が長期であることが最大のメリットでしょう。
25年~30年は耐久性があり、正しくメンテナンスをすれば40年以上も長持ちします。
最終的に大規模修繕をするにしても、場合によって貼り増しもできたり、貼替えでも簡単に施工ができ、廃材処分は他の建材よりもはるかに安く済みます。
屋根にしても、壁にしてもです。デザイン的にシンプルでスタイリッシュなイメージがあり、アトリエ建築家などが好んで設計します。
塗り壁
左官職人が金ゴテを使って塗っていくとても高級感のある塗り壁ですが、見た目が似ていても実は様々で、金額も耐久性も家の構造(通気)も検討する内容は多岐にわたります。
家の構造については大事な所なので、そこには触れておきます。
外壁材の内側で通気をするかしないかでまず2種類あります。
一つ目は湿式工法です。
昔ながらの工法で、柱⇒面材(ない場合もあり)⇒防水紙⇒ラス⇒モルタル⇒化粧材 の工程を踏みます。
湿式工法は通気層がありません。
だからいけないという訳ではありませんが、近代の気密が十分、或いは中途半端にある家には向いていないと思います。壁体内結露の危険があるからです。
昔ながらの土壁で、木ずりで6~7㎜透かして面を造る工法がありましたが、最近そこまで時間のかかる仕事を見たことが久しくないです。デメリットは躯体の動きに追随しにくく、クラックが入りやすいのがあります。
次に乾式工法です。
柱⇒面材(ない場合もあり)⇒透湿防水紙⇒胴縁(ここが通気層)⇒外装下地材⇒化粧材 の工程です。
窯業系サイディングの場合の工程に化粧材がさらに増えた感じになります。
この乾式工法の化粧材の工程では、メッシュ貼り⇒下塗り⇒プライマー塗り(ローラー)⇒化粧コテ塗りと3~4工程あるので、手間代だけでも数十万円かかります。
湿式工法ほどはありませんが、クラックはないとは言い切れず、いかに前出のメッシュ貼りで丁寧な仕事をするかによります。
材料に関しては、しっくい、珪藻土、樹脂系、アクリル系などがあり、パターンも、刷毛目、くし引き、縄目、波、ランダム、フラットなど、それらを組み合わせた物も含めると十数種類あります。
パターンの目の粗さや深さによって汚れた方が違いますが、材料そのものの汚れ(大気の汚れ、雨に含まれる砂などにもよります)は耐久性にも反映し、汚れにくいもの耐久性のあるもの程金額は増すと言っても良いでしょう。
見解
外装材は、北面以外は直射日光の紫外線と熱、風、雨に常時さらされる状態にあります。
そして北面は日陰で風の通りが悪ければいつもジメジメした状態です。
ノーメンテナンスの材料はありません。
しかし、なるべく長持ちさせて補修なり改装なりをする時に安く施工が出来ることを考えると、将来も安心だと思います。
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この記事の執筆者
小浦義一 こうらよしいち
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名古屋市の建築会社 夢工房キッチンくらぶ代表 1971年生まれ。
大工にてキャリアをスタートし大手ハウスメーカー設計の住宅を数多く手掛ける。
図面に忠実に、そして技術的に無駄が無い。ことを心情とし建築家設計の難解な住宅の施工も担う。手掛けた案件が新建築に掲載された実績もあり。
会社設立後は全てのお客様の図面、線一本にも責任を持つことを掲げ、一棟一棟、熟練の職人とともに年間受注棟数を限定しながら、高断熱・高気密・高耐震、そして自然素材を主とした健康で安心して永く住み続けられる住みやすい住宅を提供している。
主な資格は、二級建築士、住宅断熱アドバイザー、住宅断熱施工技術者、第二種電気工事士 宅地建物取引士 など
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