自然素材の定義
自然素材と聞いて何を思い浮かべますか?
無垢の床材や塗り壁材のしっくい、石や紙でしょうか。
私が思う自然素材は、人工的な化学物質を使わず、自然界に存在する素材をその性質を活かせるように仕上げたもので、VOC(揮発性有機化合物)を発しない材料です。
先ほど挙げた材料はもちろん自然素材ですが、その他にタイル、レンガ、瓦、金属、ガラス、羊毛、麻、綿、絹、などのその仲間として考えています。
揮発するものが全ていけないという事ではありません。
植物からはBVOC(植物起源揮発性有機化合物)が発せられ、人にも気候にも影響すると言われています。
ヒノキチオールやフィトンチッドはあなたも聞いたことはあるかと思います。癒し成分や殺菌成分もあるのです。
自然素材は扱いづらい
あくまでも、私の経験からくる見解ですが、自然素材の材料は施工に手間と経験が必要です。
例えば無垢の床材を例にしますと、製造時の製品としての精度は良いのですが、加工後の乾燥により、0.1㎜~0.5㎜くらいの収縮があったり、反っている場合があります。
リビングなど広い面積を貼るとなると数十列にもなります。
0.1㎜~0.5㎜の差が貼り終わりの頃には仮に30列とすると1㎝以上の隙間になる事もあります。
それを1列1列微妙に調整をしながら最後の取り合いまで納めるのは、やはりセンスと力量(腕)が必要です。
私はハウスメーカーの大工としての経験もありますが、合板のフローリングを1日で貼れる面積を無垢のフローリングで貼ると3日以上かかります。
もちろん1枚の面積が違うのもありますが、色のムラや色味を考えてまんべんなくきれいに貼ろうとすると気を使うことに時間を費やします。
自然素材はクレームが多い
自然素材を使わない一番の理由が、これだと思います。
家の中の温湿度によって無垢の木は収縮します。
それによって隙間が出来ることに抵抗がある方が多いのでしょう。
床や壁の補修が手に負えないという理由で新建材を使うことを選ぶことをよく聞きます。
どの材料でも、一長一短があります。
「無垢の木は収縮して当たり前だし、それよりもその収縮は部屋の調湿をしてくれて快適にするんだ。経年劣化してボロボロになるのではなく、アンティークに経年変化していくんだ。」と思うことが出来れば、良いものを長く使うことに魅力を感じて頂けるのではないかと思います。
自然素材の安心感
シックハウス症候群をご存知ですか?
建材の揮発する目に見えない物質によって、目まいや吐き気などの体調不良が生じる状態です。
VOC(揮発性有機化合物)は住宅に使われている建材だけではなく、家具や衣料、雑貨などからも出ているのですが、住宅が中途半端に気密が高いのも原因と言われています。
部屋の一部或いは大半の空気がうまく入れ変わらず、淀んだ空気が溜まってしまうからです。
住宅は高気密(1.0㎠/㎡以下)で建てるのが望ましいですね。
話が遠回りになりましたが、極力、家の部材で自然素材を使うことが、健康的に過ごすポイントですが、目に見えるところでは、床に無垢フローリングを使うことはもちろん、壁や天井には紙クロス、しっくい、羽目板などを使い、目に見えない所では、合板(べニア)や集成材、有機溶剤系ボンド、石油系断熱材などをなるべくなら使わないといったことに気を付けるべきです。
コスト的、耐力構造的に仕方がない部分もありますが、それらを抑えた方が安心感が得られます。
自然素材の良さ
最後に、自然素材の良さを挙げていきたいと思います。
素材が帯電しないので、ホコリを吸い寄せることがありません。
調湿作用に優れているので、夏でも涼しく感じます。
耐久性が高いので永く住むならトータルで安く済みます。
肌触りも見た目も優しいので毎日の暮らしに癒しを与えてくれます。
有害物質をほとんど出さないので健康被害に悩まされなくて安心です。
廃棄時に環境への負担が少ないので、将来の子供たちに負担をかけません。
製品を作るときのエネルギー負荷が少ないので結果的にエコです。
まだまだあるかも知れませんがこれほど安心して長く使える素材ということが、自然素材をお勧めする理由です。
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この記事の執筆者
小浦義一 こうらよしいち
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名古屋市の建築会社 夢工房キッチンくらぶ代表 1971年生まれ。
大工にてキャリアをスタートし大手ハウスメーカー設計の住宅を数多く手掛ける。
図面に忠実に、そして技術的に無駄が無い。ことを心情とし建築家設計の難解な住宅の施工も担う。手掛けた案件が新建築に掲載された実績もあり。
会社設立後は全てのお客様の図面、線一本にも責任を持つことを掲げ、一棟一棟、熟練の職人とともに年間受注棟数を限定しながら、高断熱・高気密・高耐震、そして自然素材を主とした健康で安心して永く住み続けられる住みやすい住宅を提供している。
主な資格は、二級建築士、住宅断熱アドバイザー、住宅断熱施工技術者、第二種電気工事士 宅地建物取引士 など
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