後悔先に立たず
土地がもうすでにあるという方はとても幸運です。
楽しい家づくりが目の前ですから。
しかしこれから土地を買おうと思っていて、成形地で駅が近くて平らな土地をお値打ちな価格で探そうとすると、なかなか見つからず何カ月も毎日毎日土地の情報サイトを見ているという方や、良い土地だと思って買ったはいいけれど、土地の法律的条件を知らず建てたい家が建てられなかった方、安い土地が買えてラッキーと思っていたら、擁壁工事が必要で結局多額の費用が必要だった、など土地購入から家づくりを考える方は、多くのリスクがあります。
「まずは土地を購入しましょう、それから家を建てるビルダーを探しましょう」という、世間一般的に勧められている方法では後で後悔する方がたくさんいるのを知って頂き、買って正解!と思える賢い土地購入の考え方をお話しします。
土地は探すな
土地を購入するのに、土地を探すなって、いつもながら反対のことから攻めていきます。順を追って説明しますね。
お金がかかる土地 地盤の高さ
駐車場として貸したいとか、農作物を育てたいなどで土地を買う方はここでは何も得られません。
ここでは土地は家を建てるために買う方のためのお話をします。
まず、お金。買ってから家を建てるまでに土地を整備しなければなりません。
道路との高さの違いがあればあるほど、造成工事の費用がかかります。
例えば、1mまでの段差であれば、隣地との境と自宅との間にブロック工事が必要です。
そして駐車場を作るために土地を処分するお金がかかります。
数十万円から百数十万でしょうか。
1m以上の段差になるとブロックでは強度が足りず、擁壁というコンクリートで土留めをする必要があります。
残土処理分を含めると、百数十万円から数百万円の費用が必要です。
仮に今すでに既存宅が建っていて、擁壁があるからと言って安心してはいけません。
施工基準が変わる前の施工だと建築の許可が降りない可能性があるからです。
お金がかかる土地 地盤の固さ
100%の確率ではありませんが、地盤の固さもあらかじめ知っておいた方が良いです。
建物が建つ真下の地面が長期的に地盤沈下しないように補強工事をすることになると、80万円から120万円くらいはかかります。
平屋で基礎の面積が広い場合はさらに費用がかかります。
海や川が近い土地は地盤改良工事の選定が難しく高額になる可能性もあります。
お金がかかる土地 建築基準法
お金がかかりそうな規制を挙げます。
準防火地域、宅地造成等工事規制区域です。
まだありますがとりあえず押さえておきましょう。
準防火地域は住宅が火事になったときに燃え広がらないように外壁やサッシの防火に関する基準が決まっています
防火サッシは通常の非防火サッシに比べて2倍くらいの費用がかかります。
宅地造成等工事規制区域は起伏のある地域によく見られ、地すべりや土砂災害などがないように規制がかけられています。
そのため通常の工事にはない申請や検査があったり、施工に費用がかかったりします。
あと、申請で費用が必要なものとして、76条申請、小規模開発許可申請、埋蔵文化財保護申請、などがありそれぞれ十数万円費用が必要です。
お金がかかる土地 インフラ未整備
上下水道管の引き込みがない場合は、その市区町村の道路工事の許可を持った水道業者に工事を依頼しなければなりません。
市区町村によって費用は差があります。
数十万円から百万円を超える場合もありますので、まずは概算でもいいので費用を確認した方が良いです。
その他の建築基準法
実は、日本であればどこでどんな家を建てても大丈夫なわけではありません。
ここでは簡単に説明するだけにとどめます。
家を建てて良い場所、いけない場所、建てても良いけど規制がある場所があります。
市街化調整区域と市街化区域、その中でも閑静な住宅街を目指す地域と経済の活性化を目指す地域など、規律を守るように整備されています。
建ぺい率や容積率、北側斜線規制、風致地区が主な規制になります。
建ぺい率と容積率は敷地に対して最大限建てられる面積が規制されています。
家の面積を予算がある限り広く出来る訳ではありません。
30坪の家が欲しい方でも場合によっては、28坪しか建てられないかも知れないのです。
北側斜線規制は、南側のお隣さんに陽の光が当たるように家の高さや屋根の形状を制限する規制です。
これによって、お好みの家の形状ではなくなる可能性もあります。
そして風致地区、これはその地域の昔からの景観を守るために作られている規制です。
主に外壁や屋根の色に制限があり、落ち着いたブルーの外壁にしたくても出来ない可能性があります。
制限される色については地域によって違うので確認が必要です。
土地購入は争奪戦
思いもしない多額の費用を払うことになったり、建てたかった家の広さより狭くなったり、形がいびつになったりと、後になって分かることが多いので後悔しないようにするためには、どうしたら良いでしょうか?
それは、建てるビルダーを探してから、土地に関して相談に乗ってもらい、家を建てる前にその土地にかかる費用や建築の条件などを確認してもらえば解決します。
なので、どんな家に住みたいか、土地に対する要望は何があるのかをはっきりさせることが重要です。
夫婦の意見が分かれていてはいつまでたっても決まりません。
いくらまでなら安心してその後の生活が送れるかをしって、総予算は決めておきましょう。
住みたい家の概算金額が出たら、総予算から家の金額と諸経費を除いた金額が土地の予算です。
要望と土地の予算が決まったら不動産屋にその条件で探してもらいます。
そう、土地は探してもらって、「選ぶ」が正解です。
この時に注意しなければいけない点が一つあります。
きつい言い方ですが、不動産屋はいつまでもあなたの味方ではありません。
不動産屋は土地の仲介で利益を出し経営しています。
あれが気に入らない、これが気に入らないと言って、何件出してもなかなか決断しないとそのうち情報をもらえなくなってしまいます。
すぐに土地を買ってくれる人に優先して情報を持っていきます。
なので、要望には優先順位をつけましょう。
100点満点の土地は100件見ても見つかりません。
70点で即買いです。朝、新着で出た土地が夕方には売れてしまうスピード感です。
予算と相場
住みたい地域の相場が合えば問題ありませんが、もし足りない場合は、地域を変えて探すか家の規模を小さくして土地の予算を上げるしかありません。
土地はあなたが思ってる以上に高くて、要望が100点の土地が見つかったとしたら、おそらく予算オーバーになっていると思います。
なぜか不思議ですがそういう経験を何度もしてきました。
設計を信頼して頂けるならですが、形状が変形している土地は少しお安いのでそこも許容範囲に入れて頂けると選ぶ土地も増えるかも知れません。
最後に
土地を購入をするまでは挫折感を味わって本当につらいと思います。
その後の「楽しい家づくり」を楽しみに、一緒に頑張って良い土地を見つけましょう!
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この記事の執筆者
小浦義一 こうらよしいち
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名古屋市の建築会社 夢工房キッチンくらぶ代表 1971年生まれ。
大工にてキャリアをスタートし大手ハウスメーカー設計の住宅を数多く手掛ける。
図面に忠実に、そして技術的に無駄が無い。ことを心情とし建築家設計の難解な住宅の施工も担う。手掛けた案件が新建築に掲載された実績もあり。
会社設立後は全てのお客様の図面、線一本にも責任を持つことを掲げ、一棟一棟、熟練の職人とともに年間受注棟数を限定しながら、高断熱・高気密・高耐震、そして自然素材を主とした健康で安心して永く住み続けられる住みやすい住宅を提供している。
主な資格は、二級建築士、住宅断熱アドバイザー、住宅断熱施工技術者、第二種電気工事士 宅地建物取引士 など
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