建設業界の常識と非常識
日本国内での建設業界の売上は2023年5月時点で15兆円を超えます。
自動車業界に比べれば4分の1くらいの業界ですが、私たちのように低層(1~3階)の住宅を建てる工務店は約35,000社ほどあります。
そのうち9割以上の工務店の防蟻処理の常識は「農薬系合成殺虫剤」です。
大手になるほどそれが顕著です。
後でお話しする「ホウ酸処理」は非常識のようです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
農薬系合成殺虫剤
合成殺虫剤の種類は様々で何種類もあります。
よく使われるものでいうと、ネオニコチノイド系・フェニルピロール系・ピレスロイド系・カーバメート系などです。
どれも効果として殺虫能力・即効性・忌避性(嫌って逃げる)・揮発(蒸発)性を持っている点です。
メリットは施工費が安い(新築工事の場合2~3万円、もしくは無料)ことです。
弱点は「揮発性」で、効果は5年くらいしか持ちません。
ということは5年毎に床下にもぐって噴霧する必要があります。
その際は1回につき20万円くらいかかるでしょう。
もし5年以上経ってしまい蟻害にあってしまうと、駆除費用がかかりプラス30万円くらい費用がかかります。
新築時に金額が少なく済むのはその住宅の防蟻処理工事のリピーター券を得られるからです。
どこに揮発するのでしょう・・・正解!部屋の中です。
大体床から30㎝くらいに沈殿してペットや幼児が吸うことになります。
揮発成分は人が歩けば舞い上がり、大人も吸うことになります。
海外の研究調査では、ADHDなどの発達障害を引き起こすとして多数発表されていています。
以前発生したミツバチの大量死もこの薬剤が原因ではないかと疑われています。
毒性を分かりやすく説明すると、煙草に含まれるニコチンの毒性を爆竹だとすると、それを新しく(ネオ)昆虫への毒性を高めるために化合されたネオニコチノイドのその毒性は3尺玉以上の爆発力があると言われています。
その後の環境破壊のことまで考えると原爆に匹敵するとも言われています。
ネオニコチノイドは揮発すると言いましたが、消えてなくなることはありません。
空中を浮遊し外へ出て庭や道路の排水溝に流れ、やがて川や地下水に溶け込んで生態系を静かに汚染していくのです。
海外で「使用厳禁」にされているこれらの合成殺虫剤はなぜ日本で使われ続けているのでしょうね。経済を回すことが優先されているからでしょうか・・・
劣化予防材
非忌避性・遅効性・親水性と一見すると悪いことばかりのような気がしますね。
忌避性がないとすると木材を食べずにホウ酸の上を歩いたシロアリAはずっと歩き続けることができます。
しかし最後にはホウ酸ごと木材を食べ進むことになります。
そして巣に帰ったシロアリAは、シロアリBやシロアリCと接触し体をキレイキレイ(グルーミングといいます)し合います。
やがてシロアリAは直接食べたホウ酸が体内で代謝できずにお亡くなりになります。
シロアリBもCも同様にいずれお亡くなりになります。
非忌避性と遅効性が有効に働くのがこの仕組みです。
鉱物であるホウ酸は揮発することがないので、噴霧された場所にずっとあり続けますが、それでも弱点があります。
水に溶けて流されてしまうと効果がなくなるという点です。
床下浸水は再施工が必要になります。
建築工事中には細心の注意が必要です。
上棟後、早い段階でホウ酸防蟻処理は行われますが、処理後には雨で濡れないように雨養生や場合によっては施工の順番を検討する必要があります。
なので普段からホウ酸処理をしていない会社にお願いしたとしてもトラブルになる可能性があります。
ホウ酸処理の考え方
ホウ酸で防蟻をする意味は、「木材の劣化予防」に最適であって決して駆除をする薬剤ではないということです。
リフォームより新築の方が採用しやすいと言えます。
すでにシロアリに被害にあわれているとしたら即効性のある殺虫剤で駆除をしないといけません。
しかしその時に忌避性のある薬剤で処理をしてしまうと、そこから逃げて安全な場所でまた繁殖してしまう可能性があり被害が広がるので要注意です。
新築の場合はそこの心配はありません。
効果が薄れない、健康被害も心配ない、水に濡れなければ(比較的、判断がしやすい)いつまでも安心。
木材の劣化予防で、これだけ優位性のあるホウ酸が全国での棟数の10%未満だなんて、常識が非常識だと疑ってしまいます。
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この記事の執筆者
小浦義一 こうらよしいち
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名古屋市の建築会社 夢工房キッチンくらぶ代表 1971年生まれ。
大工にてキャリアをスタートし大手ハウスメーカー設計の住宅を数多く手掛ける。
図面に忠実に、そして技術的に無駄が無い。ことを心情とし建築家設計の難解な住宅の施工も担う。手掛けた案件が新建築に掲載された実績もあり。
会社設立後は全てのお客様の図面、線一本にも責任を持つことを掲げ、一棟一棟、熟練の職人とともに年間受注棟数を限定しながら、高断熱・高気密・高耐震、そして自然素材を主とした健康で安心して永く住み続けられる住みやすい住宅を提供している。
主な資格は、二級建築士、住宅断熱アドバイザー、住宅断熱施工技術者、第二種電気工事士 宅地建物取引士 など
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