グラスウール vs 発泡ウレタン vs セルロースファイバー:断熱材の比較と選び方

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グラスウールの特徴

日本で一番の特徴は、安価で誰でも施工が可能なことです。ホームセンターに売っているくらいですからね。

グラスウールはガラスを高温で溶かしノズルから噴射することで繊維状にし、それを結合剤(バインダー)を添加して均一な構造を成形し形を整えます。

一般的なものはロール状のものでビニールの袋に入っています。
穴の空いていない防湿になる部分は部屋側に向け、穴の空いた透湿する方は外側に向けます。

グラスウールは施工が難しい

各断熱材メーカーが推奨している施工方法をしないと性能がガタ落ちします。

決して押し込み過ぎないこと、換気口やコンセントボックスはその部材と同じ大きさでカットすること、筋交いと重なる部分だけカットして取り除き元通り納めること、そして防湿層に途切れ目があってはいけないこと。

頭の中では分かるけどこれが出来るには、大工さんの断熱に対する知識としっかりとした施工をするという責任感、そして手間を惜しまず丁寧に仕事をする気持ちが必須になります。

おそらくですが…大工さんは断熱材の施工手間賃をもらっていません。
少なくとも私が現役の時は手間代はもらっていませんでした。今でも坪単価一式工事の中でやっていると思います。

グラスウールは湿気に弱い

グラスウールは湿気をため込む性質があります。

湿気で変質するわけではありませんが、吐くことができないので取り込んだままの状態になります。

そうするとどうなるか、そうですカビや菌の宝庫になるのです。
カビが成長すると石こうボードに浸食しやがてクロスにまで出てきます。

湿気を含んだ断熱材に触れた柱は腐朽菌が活躍し頑張って成長します。
また、水分の重みで沈殿することにもなり、外の温度や湿度が自由に出入りし結露するようになります。

発泡ウレタンは湿気に弱い

発泡ウレタンの施工現場では防湿フィルムを見たことはありませんが、なぜでしょうね。

確かに防湿層が不要なものもあると思いますが、施工した表面を削り取る施工方法だとせっかくのスキン層がなくなってしまうので、防湿フィルムは必要と私は思います。

独立気泡型の発泡ウレタンでしたら湿気が貫通することは考えにくいのですが、そもそも湿気には物性として脆いので、湿気はシャットアウトするべきだと思います。

そこはグラスウールと同じかなと。
この件に触れている建築会社がないのが不思議なくらいで…どうなのでしょうか、もっと調べたいと思います。

発泡ウレタンは火に弱い

発泡ウレタンは2つの液体を化学反応させガスで発泡するため、火が燃え移りやすく、溶ける時に有毒ガスを発生させます。

万が一の火事の時はこの有毒ガスでなくなる方が多いのです。

たしか数年前に海外で起きた高層マンションの火災は大規模修繕で外壁保護を行い、その1年後、4階で起きた火事がわずか15分で瞬く間に最上階まで広がったのはウレタンで外断熱を施工したからだと…真の原因は他にもあるとは思いますが、衝撃な惨事でした。

セルロースファイバーの特徴

正確には「セルローズファイバー」というようです。
私は「セルロースファイバー」で覚えてしまった(?)のでこれで進めます。

特徴は、材料と施工と製造時CO2排出量にあります。

まず材料は先の2種類の断熱材とは違い、自然界に存在する物で構成されています。

材料のほとんどはパルプから作った新聞紙でその他の材料はホウ酸、ホウ砂、撥水材です。次に施工ですが日本には4社メーカーがあり多少違うかも知れませんが今回は1社の工法についてお話しします。

新聞紙を小さく粉砕してその他材料を攪拌させたネタを一度包装し、現場で撹拌機とブロワーでホースに送り、袋状になった壁の中へ詰め込んでいきます。

特徴は、細かい粒子が隅々まで行きわたり、断熱欠損がないこと・防蟻防腐剤の役割を持つこと・燃えない事・調湿すること・防音効果があること・撥水すること。と色々あります。

他の材料にはないこの特徴は、断熱材でありながら人が健康で快適に暮らすための付加価値がついた断熱材なのです。

セルロースファイバーの欠点と利点

セルロースファイバーの欠点はどの断熱材よりも金額が高いことです。
材料の新聞紙が今の世の中だんだん減っているので、材料の確保についても心配です。

施工の注意点ですが、訓練をせずに作業すると密度が足りなくて数カ月後に沈殿します。沈殿したら他の断熱材と同様に結果、結露します。

すべてのスパンで均等にまんべんなく55~60kg/㎥の圧力で詰まっていることがとても大切で、これを検査項目に入れてしっかり施工することが必要です。

調湿作用があるので夏が快適です。
調湿することによって梅雨時期の不快指数はかなり和らぎ、夏場の暑い時期では、同じ温度でも体感温度は2℃くらい低く感じられます。

なのですが、冬は少し気をつけて湿度調整をしなければなりません。
セルロースファイバーを施工してから数年は過乾燥になりがちです。

洗濯物の室内干しや加湿器で湿度を調整して40%~60%に保持して欲しいのです。40%より下回るとお肌の水分がどんどん奪われてしまいます。

そして60%を超えてもセルロースファイバーにはまだ余裕はある(ホウ酸のおかげ)のですが、部屋の中ではカビやダニ、ウイルスが元気になってしまうからです。

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この記事の執筆者

小浦義一 こうらよしいち

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名古屋市の建築会社 夢工房キッチンくらぶ代表 1971年生まれ。
大工にてキャリアをスタートし大手ハウスメーカー設計の住宅を数多く手掛ける。
図面に忠実に、そして技術的に無駄が無い。ことを心情とし建築家設計の難解な住宅の施工も担う。手掛けた案件が新建築に掲載された実績もあり。

会社設立後は全てのお客様の図面、線一本にも責任を持つことを掲げ、一棟一棟、熟練の職人とともに年間受注棟数を限定しながら、高断熱・高気密・高耐震、そして自然素材を主とした健康で安心して永く住み続けられる住みやすい住宅を提供している。

主な資格は、二級建築士、住宅断熱アドバイザー、住宅断熱施工技術者、第二種電気工事士 宅地建物取引士 など

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